想いをカタチに残すお手伝いを

写真屋こぼれ話 「ゾワワっの1枚」

カメラの光盛堂Ⅱのひろちゃんです

今では、スマホからのプリントがほとんど。
そのため年配のお客様には、店頭受付機でのご注文を、いつも横でお手伝いしながら一緒に進めています。

その日も、スマホをWi-Fiにつなぎ、注文ソフトを操作しながら

「こちらは何枚にいたしますか?」
「この写真、どちらに行かれた時のものですか?」

と、思い出を伺いながら楽しくおしゃべりしながら受付していた時のことです。

ふと目に留まり、ゾワワっと鳥肌が立つような一枚に出合いました。

––– 皺を重ねた、人生を刻んだ3人分の手の写真。

「姉がもう長くないって言われてね…。病院で3人姉妹で写真を撮ろうって話したんだけど、病気でやつれた顔は写りたくないって言うので。じゃあ手だけでも、と撮ったの。」

わわわ……なんて素敵な記念写真なんだろう。

たった1枚の写真なのに、この手を見るだけで、ごきょうだいの思い出が一気に蘇るような気がしました。
胸の奥が熱くなるほど、言葉にできない感情でいっぱいになりました。

お姉さまは数日後に亡くなられたそうですが、
その方は仕上がった写真を愛おしそうに手に取って、微笑みながら

「この写真、撮っておいて本当に良かったわ」

とおっしゃいました。

寂しさはあるけれど、この写真がある限り、きっと姉妹のつながりはずっと心に寄り添っていくのだと思います。

写真屋をしていると、稀に「ゾワワっ」と心が揺れるほどの一枚に出合うことがあります。
改めて――心が動いた時、その瞬間を写真に残す大切さを感じました。

お客様に許可を頂て撮らせていただきました
謹んでお姉さまのご冥福お祈りいたします

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